2023年の国際女性デーを記念して、LVRSustainableから気になるブランドを選んで春を迎えませんか?ファッション業界の原動力であり、インスピレーションの源でもある女性たち。女性のエンパワーメントや包括性にフォーカスし、変化を生み出すために真摯な取り組みを続けるブランドへのインタビューをご覧ください。
Pura Utz
ブランドやあなた自身にについて教えてください。持続可能なファッションの世界に足を踏み入れたきっかけは何ですか?自身が考えるサステナブルな哲学に女性たちをどのように巻き込んだのですか?
私の名前はアンナといい、Pura Utzの共同設立者です。ビジネスパートナーであり友人でもあるBernabela Sapalùと一緒にブランドPura Utzを設立しました。ファッションの世界には、裏口から入ったようなものです。私は正看護師であり、学業などでグアテマラで多くの時間を過ごしました。そして仕事をしながら女性の権利について学ぶようになり、自分で収入を得て、自分や家族の未来に投資することでより多くの自由や選択があることを肌で感じることができました。多くの女性たちと直接仕事をする機会にも恵まれましたが、女性たちが持つすばらしい技術とスキルを活かした何かを、違うカタチで実現したくなったのです。私の思いは女性たちが自分で収入を得て、自身の人生と未来に投資することで周りとより平等な関係を築ける状況をつくり、同時にデザイン、クオリティ、価値の高いアイテムを制作していくことにあります。
ファッション業界に携わる女性たちは、互いの成功のためにどのように助け合うことができるでしょうか?
私は空間を共有することが大切だと思っています。ファッション業界だけでなく、ほぼすべての業界では、女性が主導権を握るような役割に就くことがほとんどありませんが、もしある女性がその位置にいるのであれば、そのスペースを別の女性と共有することで拡大することができます。私たちはエモーショナルなレベルでお互いを深く理解している部分があるので、助け合い共有していくことができます。Pura Utzでは事業のバリューチェーンだけでなく、女性の写真家や女性の同僚など、一緒に働く人たちにもこのことを実践しています。
自分自身や会社で働く女性たちにどのように自信を与えていますか?
これはとても大切な質問です。エンパワーメントの価値の本質は、変化を起こすための手段になることです。実践的なレベルでPura Utzは、安全な職場環境や報酬面で良い条件ををつくるだけでなく、価格設定やソーシャルメディア、ビジネス教育、デザイン開発、品質などについて話し合い、透明性を確保することに努めて同僚を尊重するなど、目の前の課題に焦点を当てています。透明性は、何も隠すことがなくプロジェクトの中で対等であることを同僚たちに示すことで、チームの絆と信頼を深めます。女性たちはこれまで不平等な場所にいて、不安や希望を抱えていたかもしれませんが、そのことを共有しながら私たちは出会うことができます。女性たちが尊重され、女性たちに価値があることをチームに示すことによって、仕事や人生において、彼女たちに自信を感じてもらいたいと思っています。
ジェンダー平等を維持するために、ファッション業界はどのような変化を起こすことができますか?
バリューチェーン全体で女性たちに目を向けることです。ファッション業界の中で私の女性としての立場が認められない場面もありますが、それは重要ではなくなんとかなります。バリューチェーンにおけるジェンダー不平等に焦点を当てるのは、委託も含めた工場で働く女性たちが、自分自身やその家族が威厳ある方法で暮らせるようにするための賃金を稼ぐ必要があるからです。
Pura Utz 共同設立者: Anna Waller Andrés
Manu Atelier
ブランドやあなた自身にについて教えてください。持続可能なファッションの世界に足を踏み入れたきっかけは何ですか?自身が考えるサステナブルな哲学に女性たちをどのように巻き込んだのですか?
ブランドManu Atelierは、レザークラフト業界で私の父親が築き上げたレガシーを追い求めることが基盤となっています。私たちはトルコでもっとも重要な革職人のワークショップで、バッグをデザインし手作りしている父親の姿を見て育ちました。ブランドにとって持続可能という要素はとても重要です。父親は環境を大切にすることの重要性を、常に私たちに教えてくれていました。生産において無駄を最小限に抑えることは、ブランドにとってとても大切なことです。革を手作業で裁断し、手で縫うことで機械の使用量を減らし、持続可能な生産を実現しています。このブランドは意識の高いイデオロギーを持っており、すべての新しい試みは持続可能性を念頭に置いて考えられています。最大の課題の一つは大量に生産しながら、どのように持続可能性を維持するかということです。熟練した職人を見つけるのは簡単なことではないので、若い人たちに学んでもらい、職人技術に関心と情熱を持ってもらうことが大事だと考えています。
私たちの会社は女性中心であり、社内のあらゆる場所で女性が活動しています。コレクションだけでなく、女性のエンパワーメントや持続可能性についての強いメッセージを伝える、意義のあるキャンペーンを行うことも大切です。たとえば前回のキャンペーンでは、バッグの生産で余った革を使った衣服を制作しました。
ファッション業界に携わる女性たちは、互いの成功のためにどのように助け合うことができるでしょうか?
マインドが強い女性たちと過ごしながら、お互いをサポートすることは常に大切です。私たちはスタイリストを務めるAlex Carlと緊密に会話をし、ビジネスについて常に意見を交換しています。お互いを尊重しながら支持しあうことは重要です。それぞれの個性を受け入れ、意見に耳を傾け共有することで、すべての人に成長するチャンスがあることを知ってもらうことが大切です。団結は力になり、団結することでより強くなれると考えることがカギだと私たちは思っています。
自分自身や会社で働く女性たちにどのように自信を与えていますか?
彼女たちが自分らしくいられ、一人ひとりのやる気や情熱が消えないようなツールを提供しています。人は自分の個性が受け入れられ自信が生まれると、モチベーションが上がり最高の自分を発揮することができます。Manu Atelierは女性のために女性によって誕生した女性中心のブランドです。私たちのチームや家族には多くの女性が存在しますが、私たちはその彼女たちの日常生活からインスピレーションを得て、現代を生きる女性たちのライフスタイルに適したアイテムを制作することに努めています。私たちがつくる衣服を身に纏うことで安心感が生まれるだけでなく、内側からパワーや自信を感じてもらいたいと思っています。
ジェンダー平等を維持するために、ファッション業界はどのような変化を起こすことができますか?
ファッション業界において、このテーマについてはさまざまな議論が展開されていると思いますが、実際に変化していることはあまりありません。変化を本当に起こすには意思決定のすべてのプロセスで女性を含める必要がありますが、その位置に就いている女性の割合はまだ低く、また業界内の多くの場所で、未だに多くのジェンダー不平等がみられます。賃金の平等に真剣に取り組み、業界内での女性への差別を撲滅しなければなりません。さらにより良い産休制度や、男性と同じキャリアアップの機会を提供する必要もあります。もう一つの問題として、女性のイメージが固定観念に囚われすぎていることが挙げられます。業界では依然として、女性らしさというフェミニンなシルエットに固執している部分があります。ソーシャルメディアでは体型をより多様な視点で表現しようとする動きがみられますが、実際には何も変わっておらず、売られている衣服はスリムな女性に向けられたものが多いと感じます。女性のイメージに対する固定観念を取り除き、それぞれの個性を受け入れるより多くの選択肢を提供するべきです。ファッション業界は多様性を促進すると同時に、よりコンシャスで包括的であるべきだと考えます。
業界のリーダーたちはこられの問題に真剣に取り組み、世間の意識を高めるためにも、より大きなプラットフォームを提供しながら、ブランドのプロモーションやキャンペーンに力を注ぐべきです。
共同設立者, クリエイティブディレクター: Merve Manastir and Beste Manastir Bagdatli
DMY BY DMY
ブランドやあなた自身にについて教えてください。持続可能なファッションの世界に足を踏み入れたきっかけは何ですか?自身が考えるサステナブルな哲学に女性たちをどのように巻き込んだのですか?
2018年にDemi Mae Yipによって設立された英国発アイウェアブランドDMY BY DMYは、現代女性のためのデザイン主導型によるサングラスを展開しています。持続可能な制作にフォーカスしたブランドの目標は、長年にわたり生き続ける職人技の伝統と歴史からインスピレーションを受けた、時代も季節も超えるタイムレスなアイウェアを制作することです。品質、長持ちすること、機能性という3つのコアをデザインプロセスの中心に位置づけ、何世代にもわたって私たちのサングラスを着用してほしいという願いを込めています。ブランド設立以来、私たちはファッション業界に関わる企業が地球と人々の両方に与える影響を考慮し、どのような行動で変化を起こすことができるのかを考えてきました。グローバルに展開しているブランドとして、コミュニティを地域、国、国際レベルで保護し、女性たちを向上させるという責任を持ち、またそのような機会を提供する必要があると認識しています。DMY BY DMYはすべての売上の1%を、戦争を生き延びた女性たちの生活再建を支援する慈善団体「Women for Women International」に寄付しています。
ファッション業界に携わる女性たちは、互いの成功のためにどのように助け合うことができるでしょうか。
ファッション業界で働く女性たちがそれぞれのストーリーを共有し、お互いの強みを称え合うと同時に、自分の弱い部分も平等にオープンにすることが大切です。私たちの取り組みと私たちが構築するプラットフォームを通じて、強い人間関係とコミュニティを築くことを優先することで、成長し成功するためにお互いを助け合うことができます。
自分自身や会社で働く女性たちにどのように自信を与えていますか?
エンパワーメントと包括性はどちらも創造性と成長の基本であり、私たちはそのためにブランド全体で包括性を積極的に促進することに努めています。多様な視点と経験が私たちの話し合いを強化し、それがよりポジティブなアイデアにつながると信じています。小さなチームですが私たちは長い道のりを歩んでおり、多様な女性たちのコミュニティのために、すべての人が尊重されお互いの強みを称え合い、弱い部分をオープンにできる、包括的なスペースを構築することに取り組んでいます。
ジェンダー平等を維持するために、ファッション業界はどのような変化を起こすことができますか?
ファッション業界はジェンダー平等をサポートする、包括的な方向へ焦点を当てる必要があります。うわべだけのジェンダー平等を唱えるのではなく、女性がキャリアを積む中で成長できるようリソースやノウハウを持つための機会を増やし、より柔軟な労働の場を創出するなどの変化を実際に起こすことが重要です。ファッションに関わる企業はブランド戦略の中にジェンダー平等を組み込み、社会的な影響を与えることに責任を持ち、サプライチェーン全体で女性のエンパワーメントに真摯に努め、透明性を持って取り組むことが重要です。
frankremme
ブランドやあなた自身にについて教えてください。持続可能なファッションの世界に足を踏み入れたきっかけは何ですか?自身が考えるサステナブルな哲学に女性たちをどのように巻き込んだのですか?
私は自然が多く、ジェンダー平等に関して最前線に立っているノルウェー北部で育ったので、女性たちがさまざまな場所で活躍することは当たり前だと思っています。
私にとって女性の視点は不可欠であり、ブランドfrankremmeではエンパワーメント、力強さ、個性のような点にフォーカスしています。そして生産プロセスのあらゆる過程で、ブランドの価値観は女性たちが形成してきました。
ファッション業界での私の長年の経験から、消費者が持続可能な製品を求める時にブランドが直面するであろう課題を理解することができます。ブランドは設定されている自身のビジネスプランから、消費者の要求に応えることに今とても苦労していると思います。私はより小さなビジネスを通じて、別の方法があることに気付きました。ゼロからスタートすることですべてのことに対して意識を持った選択を行い、ブランドの持続可能なアプローチに女性たちを巻き込むことができました。私は女性たちが平等に参加でき、貢献できるビジネスを構築することを約束しています。アトリエや生産に携わる女性は機会均等、公正な賃金、そしてファッション業界でプロとして成長できるよう、frankremmeでは徹底した取り組みを行っています。
ファッション業界に携わる女性たちは、互いの成功のためにどのように助け合うことができるでしょうか?
ファッション業界には女性の貢献に対して十分な評価が与えられないという、タフで階層的な文化が存在します。ファッション業界はグループでの取り組みによって成り立つものであり、そこでは女性が創造性を活かし、プロとして個人的な成長ができる機会を与えられるべきです。
自分自身や会社で働く女性たちにどのように自信を与えていますか?
私の目標は地元の女性たちに健全で刺激的な職場環境を提供し、女性の仕事やスキルがきちんと評価されるような機会を生み出すことにあります。これは私のブランドの哲学であり、女性の起業家を養成したり、ベンチャーで成功するように導く組合を支援したりしながら、ビジネスのあらゆる場所でその哲学を適用するように努めています。私たちは女性のコワーカーたちのために、よりポジティブな未来を構築することに力を注いでいます。
ジェンダー平等を維持するために、ファッション業界はどのような変化を起こすことができますか?
私はジェンダー平等が当たり前という家族環境の中で育ったことを光栄に思っています。私たち姉妹は同じ価値観で育ち平等に育てられました。しかし私たちの社会には、まだ家父長制の労働文化が残っています。ファッション業界には非常に有能な女性たちがいますが、男性が支配することが多い幹部レベルには反映されていません。
ジェンダー平等を改善するには、考え方や規則を変える必要があります。とても複雑な作業ですが、女性に決定権や権限を与えることで、真のジェンダー平等を達成できると思っています。
CEO兼frankremmeデザイナー: Frank Remme
About LVRSustainable
LuisaViaRomaのセクションであるLVRSustainableは持続可能な取り組みに真摯に努めるブランドを厳選し、非営利団体や組織、ブランドとタッグを組み、社会問題および環境問題に対する特別プロジェクトを実現しています。
LVRSustainable セレクション
Special Thank You to teams of Pura Utz, Manu Atelier, DMY BY DMY and frankremme