メンズファッションに革命が起きた1970年代。社会的開放、文化的探求を象徴するその時代の冒険精神が、1970年代の大胆なプリントを洗練されたコンテンポラリーなアプローチで再解釈したグッチ、マルニ、ドルチェ&ガッバーナ、エトロなどのブランドによって、今シーズンのメンズコレクションで具現化されました。現代のファッションにインスピレーションを与え続けている1970年代のスタイルは、2024秋冬シーズンのトレンドや、ヴィンテージ風のゴールドジュエリーの人気とともに夏のファッショントレンドにも登場しています。ベルボトムジーンズ、鮮やかな色合い、大きなサングラス、プラットフォームシューズ、柄があしらわれたニットウェアは1970年代を彷彿とさせるトレンドアイテム。1970年代のアウトフィットはコーデュロイやベルベットの服が大半を占めていましたが、現在はルックにディスコスタイルなタッチを落とし込むための素材となっています。1970年代の雰囲気を出すには、明るい色合い、フローラル、幾何学模様などのプリントがマストハブ。メンズのアウトフィットを1970年代風にアレンジするなら、シルクシャツ、ロールネックセーター、デニムジャケット、レトロ感溢れるスニーカーでシンプルにまとめます。いまトレンドの1970年代ファションの復活から、その時代を象徴するアイテムや1970年代風のレトロなスニーカーまで、1970年代という今シーズンのトレンドをメンズワードローブにスマートに取り入れるヒントを特集で発見してみてください。
メンズ1970年代ファッション: トレンドの誕生
自然回帰にリンクしたヒッピーの美学から始まり、華やかなディスコシーンで終わった1970年代ファッション。1970年代は音楽と若者文化が時代を支配し、フレディ・マーキュリーやデヴィッド・ボウイなどにみられる、大胆なプリントや柄が入ったニット、フレアパンツ、存在感のあるサングラス、エレガントなスポーツコート、タキシードジャケットを纏った、1970年代のグラムロックの反骨精神を体現したスタイルが旋風を巻き起こしました。1970年代のプリントが復活した今シーズンは、マスタードやテラコッタ、バーガンディのような温かみのあるカラーパレットが、ブルーやブラック、ホワイトと融合し、1970年代のインテリアを思い起こさせるレトロな色彩で現代的に再考されています。
1970s fashion didn’t hold back – and that’s why we love it.
1970年代からインスピレーションを得たスタイルを成功させる秘訣は、やり過ぎない調和の取れたスタイリングを見極めることです。1970年代のグラムロックやヒッピーファッションをそのまま真似するのではなく、1~2か所に柄アイテムを組み込むことでルックをバランスよくトーンダウンさせます。スエードやコーデュロイ、サテンのような質感をベーシックアイテムと合わせると、やり過ぎない1970年代のラグジュアリーな雰囲気を演出することができます。全面にプリントが施されたセットアップを着用する場合は、ダーク、ニュートラル、もしくはラグジュアリー感のある同系色を選びます。小物は現代的な洗練性とノスタルジックな感覚のバランスに優れたRay-Banのサングラス、もしくは今シーズン最もトレンディなヒールのあるアンクルブーツを選ぶと、1970年代の音楽と社会文化にリンクするような、リラックスしたレイドバックスタイルを演出することができます。
1970年代メンズアイコンアイテム
1970年代をイメージしたメンズファッションは、どんなアイコンアイテムを選ぶかが重要です。社会に反抗する1970年代のヒッピーやディスコディーバが好んで着用していたベルボトムジーンズは、現在、フレアパンツやワイドパンツという形でトレンドとして復活しました。リックオウエンスのCargobelas ストレッチコットンカーゴパンツ、ドリスヴァンノッテンのHama ダブルプリーツワイドスウェットパンツなどのワイドパンツやフレアパンツで、モダンな1970年代風のスタイルを演出してみてください。ベルボトムジーンズに襟先が尖ったワイドカラーのプリントシャツとプラットフォームシューズを合わせれば、夜の外出にもぴったり。1970年代のディスコな雰囲気は明るい色合いのフローラルや、幾何学模様、サイケデリックプリントなどのプリントシャツを選べば間違いありません。シャツはマルニが手がけるフローラルプリントをあしらったボックスフィットシャツや、カサブランカが展開する半袖のシルクキューバンシャツに注目。大胆な装いを好むなら柄が入ったジャケットやチェックパターンが入ったスーツを選んでもよく、前面に刺繍が施されたBazisztのNourジャケットは1970年代スタイルを見事につくり上げてくれることでしょう。また質感のあるクロスステッチが印象的なボッテガヴェネタのシルクブレンドスーツも周りの視線を集める一着です。そして1970年代をイメージする小物の使い方は、派手であるほどクール。個性的なサングラス、大きなバックルが付いたベルト、プリントがあしらわれたシルクスカーフ、フェザーやストーンで装飾されたジュエリーのような小物にフォーカスしてください。ロエベのオーガーサイズのトートイスシェルサングラス、アミパリのプリントビスコーススカーフ、ディースクエアードのヴィンテージレザーバックルベルト、エマヌエーレビコッキのツインフェザーチャームネックレスが、アウトフィットのレベルをさらに高めてくれます。
1970年代 メンズスニーカー
1970年代ファッションであまり注目されないアイコンアイテムがスニーカーです。スニーカーの人気が高まる中、スニーカーは1970年代のカジュアルスタイルの進化の一部となりました。1970年代、ニューヨークのハーレムで行われたラッカーパークトーナメントのストリートボールプレイヤーたちは、多くの観戦客を魅了し、そのファンたちはお気に入りのプレーヤーと同じスニーカーを履いていました。1973年、バスケットボール選手ウォルト・フレイジャーへの敬意を表しPumaが発表したモデルClyde (クライド) は、その時代を代表するスニーカーとなりました。そして初期のヒップホップアーティスたちが彼らのお気に入りのバスケットプレーヤーと同じスニーカーを履くようになり、バスケットコートから音楽シーンにまでこのトレンドが浸透していったのです。そうしたスニーカーの一つが、1970年代にバスケットボール選手カリーム・アブドゥル=ジャバーが愛用していたアディダスのSuperstarです。ヒップホップやバスケットボールの人気、その中で世界中の人々がアイコンとなったプレーヤーやアーティストのライフスタイルの一部を取り入れる手段として、同じスニーカーを履くことに情熱を傾けるようになりました。スポーツや音楽の影響を受け、スニーカーはフォーマルなシューズに代わる人気アイテムとなったのです。1970年代風のスニーカーを日常のスタイリングに取り入れれば、どんなシンプルなアウトフィットもレベルアップします。先ごろリニューアルされた、1972年のオリンピックのためにランニングシューズとして制作されたアディダスオリジナルスが手がけたモデルSL 72は、現代のメンズにぴったりの1970年代風スニーカーです。またハイカットスニーカーも、1970年代を彷彿とさせる一つの要素です。クラシカルなコンバースのハイカットチャックテイラーや、ナイキのハイカットモデルは定番です。1970年代のファッションをプリントや色合いで完全に体現する場合も、1970年代の雰囲気を少しだけレトロなスニーカーで落とし込む場合も、LVRではこのトレンドへの視野が広がるセレクションやインスピレーションを提案しています。