1948年の世界人権宣言により、世界人権デーは12月10日と定められました。世界人権デーを記念するこの日は、会議、イベント、討論会などが世界各地で開催され、すべての人の人権を確保するためにどう取り組むべきかということを話し合い、学び合います。
2020年の世界人権デーを記念し、今回の特集では、ビジネスにおける生産や運営方法を変えるべくエシカルトレードにフォーカスした4つのブランドにインタビューを行いました。サステナビリティはファッション業界で注目されているテーマです。その中で人権に関して違いを生むことができること、それがエシカルトレードです。エシカル・トレード・イニシアチブ (倫理取引イニシアチブ: ETI) はエシカルトレードについて、小売業者、ブランド、そのサプライヤーは、販売する製品を製造する人々の労働条件を改善する責任を負う、と定義しています。製品の供給、および生産方法、製品の輸送方法を見直し、労働者に適切な報酬が支払われるという環境を整えることで、ファッション企業は大きな違いを生み出すことができます。
企業方針にエシカルトレードを取り入れたブランドへのインタビューを、LVRSustainableの特集でご覧ください。
#LVRSUSTAINABLE
あなたにとって人権デーは何を意味しますか?
私は人権について、創造し刺激を与え、達成し自由になるという夢の魔法を信じています。学ぶこと、働いた分の報酬を得ること、暴力や差別のない普通の生活を送ることは、性別に関係なく、どこにいても同じチャンスがある世界を信じています。世界を変えるということは、あなたが変わってほしいと思う世界を見届けることです。だから私の周りに変化が起こり、この夢が実現するよう生きていきたいと思います。人権デーは自分の仕事を通して、私のこの意志を再確認する日です。
ブランドの労働倫理としてエシカルトレードをどのように取り入れていますか?
Sleeping with Jacquesはサステナブルでエシカルな生産をサポートしながらコミュニティに還元し、優れたクオリティとインテグリティに基づき、心地よい眠りを保証するブランドです。
ブランドがシルクを使用しているのは、シルクが利用可能な素材の中で、最も低いカーボンフットプリントの1つであるからです。また分解されるのに数百年かかってしまうものとは対照的に、シルクは生分解性に優れています。シルクは女性が中心となっているサプライヤーから調達しており、蚕がオーガニックの桑の葉を食べ、繭をボイルする際は再生水を使用している2か所の専用養蚕農場と取り組みを行っています。ブランドが使用するシルクはOEKO TEX認証を受けており、工場はBSCIとSEDEXにより承認されています。
さらに当社のサプライチェーンはDIN認定の堆肥化可能、および生分解性パッケージを使用しており、数日で堆肥へと分解されます。
Sleeping with Jacquesは環境への取り組みにおいて、プラスチックを可能な限り排除することを目指し、調達したマテリアルは責任を持って使用しています。
またUN WOMEN AUSTRALIAとのパートナーシップは私たちのビジネスに欠かすことができないギブバックイニシアチブとなっていて、このことをとても誇りに思っています。
ブランドはよりポジティブな未来と、環境にやさしい世界を実現するための取り組みに力を注いでいます。
ブランドにとって人権デーは何を意味しますか?
私たちにとっての人権デーとは、ファッションビジネスにおける人権への取り組みを意味します。これは労働者と生産に関わるすべての人たちを尊重する、ということです。
ブランドの労働倫理としてエシカルトレードをどのように取り入れていますか?
カシミアフレークスはモンゴルで貴重なカシミアを生産する遊牧民と公正な取引きを行いながら、原産地の価値を守り続けています。
このような貴重な素材の直接取引によって生まれる収益の一部を再投資することは、遊牧民が最もよい方法でサステナブルな取り組みを続けていくことを後押しし、遊牧民たちの将来の福祉の発展につながる推進力となります。
またパートナーであるモンゴルの工場の株式を労働者が50%所有しており、その中で女性は75%を占めています。
カシミアフレークスと遊牧民連合MNFPUGは現在、アメリカ合衆国国際開発庁 (USAID)、European Aid Cooperation、モンゴルのスイス開発協力機構 (SDC) と共同で取り組みを行い、これまで遊牧民コミュニティのために500万ヘクタールの劣化した草原を回復してきました。
ブランドにとって人権デーは何を意味しますか?
Alighieriは人々を結びつけ、それぞれのストーリーに耳を傾け、その異なるストーリーを理解することを心がけてきました。今年の人権デーは私にとって特別な日です。家庭内暴力に苦しむ女性と、その子どもたちを支援する慈善団体Refugeと協力し、家庭内暴力について知ってもらうための講演会の開催を決定しました。ブランドのこのようなプロジェクトを通して、コミュニティや世界人権デーの重要性、そして実際に起こっているこれらの問題の認識を高めていきたいと考えています。
ブランドの労働倫理としてエシカルトレードをどのように取り入れていますか?
Alighieriではモノやストーリーを通して対話と共同社会を育みながら、あらゆるステップにおいてサステナブルでエシカルな取り組みを行いたいと考えています。私たちが手がけるジュエリーは、家族経営により何世代にもわたり受け継がれる技術で制作を行うJust Castingsにて鋳造とメッキ加工が行われています。ブランドが誕生してから私たちはJust Castingsの最大の取引先となり、3つの新たな仕事を生み出しました。
ハットン・ガーデンの地元のヘリテージと工芸品をサポートすることは、創設者Rosh Mahtani (ロッシュ・マタニ) にとって重要なことであり、サプライチェーンが近くにあることから、高い品質を維持しながらラグジュアリーな製品を実現することが可能となります。ジュエリーの組み立てと仕上げは、手作業によってすぐ近くのAlighieri Studioで行われます。ジュエリーと同じく、パッケージも一生使えるようなデザインで手がけられています。ブランドのパッケージは監査済みの工場で製造されており、すべてのスタッフに公正な労働条件が保証されています。また破損や返品となったボックスは、別の用途で再利用しています。
ロッシュはブランドの成長に伴いコミュニティをサポートし、恩返しするために多くのことができると考えています。昨年ブランドは、ロッシュが育ったザンビアにおける天然資源の持続可能な使用方法と野生生物を守るために活動する慈善団体Conservation Lower Zambeziから影響を受けた3つの作品を手がけ、その希望小売価格10%がこの団体へと寄付されました。
2020年2月には、Covid-19により困難な状況に陥っていたフードバンクを支援する慈善団体Trussell Trustと提携を結びました。貧困の影響を最も受けている人々を支援するためにオンライン販売の20%を寄付することにしましたが、わずか3ヶ月で約55,000ポンドを集めることができました。
現在は女性と子どもに対する家庭内暴力の問題に取り組む、イギリスを代表する慈善団体Refugeとパートナーを組んでいます。これまでに約65,000ポンドを集めていますが、さらに続けていく考えです。
あなたにとって人権デーは何を意味しますか?
私にとって人権デーは、お互いを忘れないこと、そして平等のために貧困と戦い、私たちが今持っているものに感謝することを意味します。また人権デーは、現在起こっている問題や状況に目を向けることができるいい機会でもあります。
見たくないと思う悪いことを恐れるのではなく、しっかり見つめて解決策を見出すために学ぶことが大切です。人権デーは物事をよりよくするためのスタートにならなければなりません。
ブランドの労働倫理としてエシカルトレードをどのように取り入れていますか?
ブランドがデザインし生み出すアイテムは、サステナブルという要素がベースになっています。私たちの場合それらの要素は、1. ローカルサプライヤー 2. リサイクル素材 3. アップサイクル素材 4. 短時間での移動方法 5. 人々への 公正な給与と価格設定、となります。
またアイテムを販売するショップにも細心の注意を払っています。情熱を持ち、工房でハンドメイドにより実現される作品や不完全さの中に美しさを発見できる感覚を持つ人たちを私たちは探しています。ビジネスは楽しく人々を結び付け、平等で永続的であるべきだと思います。生産のすべてのプロセスにおいて幸せや満足を感じ、またそこから生計を立てられるということが必要となります。こういったことが、製品とスキルにおいて、新たなレベルへと引き上がることにつながるのだと思っています。
A special thank you to Sleeping with Jacques, Saldarini, Alighieri, and LPJ Studios.