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今回は国際アースデイを迎えるにあたり、私たちが住むこの地球のことを考える時間を取りたいと思います。 水質浄化法 (Clean Water Act)  から、絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律 (Endangered Species Act) まで、アースデイを軸に環境問題に真剣に取り組むすべての人々によってさまざまな変化が起こっています。そしてラグジュアリーファッション業界はその役割を果たすために、従来の方法から逸脱し、新しいファッションのあり方“サステナブルファッション”の方向へと向かっています。オーガニックからビーガン、エシカルトレード、女性のエンパワーメントまで、2020年のアースデイにあたり、地球や環境のことを考えて取り組む私たちが注目するサステナブルブランドにインタビューを行いました。

コレクションのインスピレーションやアースデイをどのように過ごすのか、なぜサステナビリティが重要なのかなど、ラグジュアリーファッション界を揺さぶる5人の注目デザイナーたちへのインタビューです。

LVRSUSTAINABLE 2020年アースデイ: 地球の日 - 1

アースデイにあたり地球環境についてどう考えますか?
皮肉なことですが、私たちにとってのこの困難な状況は地球にとっては癒しになっていると思います。

次のプロジェクトを教えてください。
私たちは冒険のスタート地点にいます。THEMOIRÈのファーストアプローチはTREE NATIONという団体でした。彼らは私たちが販売したバッグの数に応じた木を植えてくれました。またLuisaVia Romaとコラボレーションにより、#LVRSUSTAINABLEプロジェクトを通して私たちのメッセージを伝えています。LVRはサステナビリティに対して適切なアプローチで取り組んでいて、THEMOIRÈにとってはこういった考えを持つパートナーと協力することはとても大切です。次のプロジェクトでは、コミュニティと直接連携している異なるタイプの小さな団体や組織にアプローチして支援していく予定です。その中には、メキシコやマリ、ケニアが含まれています。

私生活や仕事において、サステナビリティや環境に対する意識はどれほど重要だと考えていますか?
私はメキシコの小さな町で育ち、いつも森や山と接していました。Francescaは海と密接にかかわるプーリア州で育ったので、二人ともさまざまな自然に惹かれるのです。そして日常生活においてこれらの自然をどう守るかということを考えてきました。このプロジェクトを開始してからサステナビリティについて学び、私たちにとって本当に重要な取り組みとなっています。だからこそ、サステナビリティに関して同じビジョンを持つ#LVRSUSTAINABLEとパートナーを組むことをとても嬉しく思っています。

コレクションのインスピレーションはどこから生まれるのでしょうか。
インスピレーションは色々な場所で生まれます。海外にいるときや、ただ川に行ったり自然と触れ合ったりするときにも生まれます。今は植物やフルーツ、紙などの新しいいサステナブルな素材を使用したバッグを考えているところです。こういったクリエイティブプロセスはとてもワクワクします。予測していなかったところからインスピレーションが生まれることもありますから。

サステナビリティは新しい時代のラグジュアリーといえるでしょうか。
いいえ、そうは思いません。サステナビリティは今の時代において、物事を行うための新しい唯一の方法だと思います。サステナビリティは私たちが前進できる唯一の方法で、THEMOIRÈの目標でもあります。環境にやさしい素材を使用したmade in Italy、木を植えながら、多くの人々に購入してもらえる価格を維持していきたいと考えています。

LVRSUSTAINABLE 2020年アースデイ: 地球の日 - 2
LVRSUSTAINABLE 2020年アースデイ: 地球の日 - 3

アースデイをどのように過ごしますか?
アースデイだけでなく、私たちは毎日地球の健康のことを考えて仕事に取り組んでいます。環境と社会のサステナビリティを向上させる思いで炭素や化学物質を減らし、ウォーターフットプリントを考えながら靴作りに励んでいます。ファッション業界で進んでいる取り組み方を変える運動の一部になりたいと考えていて、これが私たちの日々における地球への恩返しです。だからLVR Sustainableと取り組みができることはとても光栄です。ファッション業界がより意識的に行動するには、LVRのような企業がサステナビリティを支援し、多くの人々に厳選したブランドを提供していくことだと考えています。

次のプロジェクトを教えてください。
ブランド名が私たちの思いを物語っています。

私たちは靴の生産が環境にダメージを与えないようにすることを目指しており、莫大な浪費を生むファストファッション業界に対し、長期的でシンプルな解決策で取り組んでいます。

工場やサプライヤーと密接に連携し、私たち自身のチャリティープロジェクト“GOOD LUCK SHOES”を立ち上げました。このプロジェクトは、ヨーロッパ各地に到着する移民のために、機能性のある靴を提供するために生まれました。これまでヨーロッパのさまざまな移民センターと亡命希望者センターに到着した移民や難民に、3000足以上のシューズを提供してきました。

靴を必要とする人々に寄付するだけでなく、イミグレーションセンターに一時的に留まっている人々にも関心があります。

また私たちのプラットフォームを通して、さまざまな団体の意識と資金を高めることを目指しています。例えば“The Dream Catchers”は子どもたちにダンスを教えながら家を提供する団体です。“The Ikorodu Talented Kids”は、ナイジェリアのラゴス州イコロドゥに住んでいる子どもたちのためのグループですが、新しい生活場所とダンススタジオを建設する支援金£4000の寄付が集まりました。

私生活や仕事において、サステナビリティや環境に対する意識はどれほど重要だと考えていますか?
私たちはこの地球上に生まれた人間であり、地球や環境について意識的に考えなければなりません。今この数ヶ月の状況の中で、この「新しい世界」がどのように見えているのかとても不思議に思います。地球が私たちに、ペースを落としなさい、とでも言っているようです。ブランドとしては、この新しい世界がファッション業界に無駄な消費を生まないという意識を浸透させ、大きなブランドが変化を恐れず、そして政府のリーダーたちがより意識的にスローファッションの道へと導いてくれることを願っています。

人々は地球や自然に対する考えや行いを変える必要があります。私たちはフットウェアの分野において、ポジティブに前向きにメッセージを伝えていきたいと考えています。またサプライチェーンにおいての教育を支援し、ファッションに対する意識を変えることを発信して対話や議論、行動を促していきたいです。

コレクションのインスピレーションはどこから生まれるのでしょうか。
2020年の春夏コレクションでは、リサイクルラバーソール、オーガニックコットンのアッパーとシューレース、リサイクルエコライトのフットベッド、アップサイクルのメタルアイレットを使用しました。
インスピレーションは、新しく革新的な素材を私たちのレトロ調なソールにどう融合させていくかという部分がベースになっています。私たちのインスピレーションには、常に以下のことが含まれています。

  • 環境的にも社会的にも革新的な素材である
  • 生産のプロセス数が少ない
  • フェアトレードを促進するためにサプライチェーンをモニタリング
  • デッドストックや欠陥のあるシューズをホームレスや難民に寄付
  • 人々の生活や地球の健康を改善する努力

サステナビリティは新しい時代のラグジュアリーといえるでしょうか。
さまざまなハイストリートブランドで働いた後、業界には多くの無駄があることに私たちは気付きました。従来のクロージングやフットウェアの壊滅的な影響を見てきましたが、そのことに対し前向きな代替策で取り組まなければならないことは明らかでした。ファッションはようやくサステナビリティに目を向けるようになりましたが、エコフレンドリーや倫理的な面ではまだまだ不正確な部分がたくさんあります。特にフットウェア産業では多くの異なる構成要素を持つ製品を生産するため、環境への影響を考えると整備していく必要があると考えます。しかしだからといって、コットンやゴムを簡単に排除することはできません。私たちは多くのブランドがサステナブルな方法で実施するためにどうすればいいのか分からないのではと思っていて、そのために意識を高め、やり方を変えるために役立つプラットフォームを作りたいと考えています。適切な情報を得ることはとても困難ですが、これらの情報が適用できれば、ラグジュアリーやハイストリートを含むすべてのレベルでサステナビリティが存在できると信じています。

私たちのビジョンは、手頃な価格でサステナビリティな商品を提供できるブランドを最終的に構築することです。ブランドのモットーは「世界にほんの少しのGood Newsをもたらすこと」であり、サステナブルな素材からエシカル生産のモニタリング、サプライチェーンの綿密な管理、私たちの価値観をシェアしてくれるパートナーやチャリティ団体とのコラボレーションまで、目標に向かって実践していくことに焦点を当てています。

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アースデイをどのように過ごしますか?
今年のアースデイは、私の父親がすんでいるサン・バルテルミー島で過ごします。朝早くから、美しい自然保護区であるコロンビエビーチに出かけてハイキングをする予定です。その後は家で仕事をします。時間があればシュノーケリングにも行きたいです。水中は私をハッピーな気持ちにしてくれます。

次のプロジェクトを教えてください。
“Healthy Seas”です。2013年からダイバーや漁師が一体となり、世界中の海から500,000キロの重さを超える網や破片を除去しています。多くの海洋動物が救出され、捕獲される動物たちを守ってきました。FISCHは毎年彼らに寄付を続けており、私たちは彼らの活動に感謝しています。

私生活や仕事において、サステナビリティや環境に対する意識はどれほど重要だと考えていますか?
やっていることはいくつかありますが、完璧には程遠いと思っています。真のサステナブルを突きつめるのであれば、理論的には私たちみんながビーガンになり、頻繁に旅行するのをやめ、消費を最低限に抑える必要があります。しかし世界はまだそのようには機能していません。

エコフレンドリーな生活を送るということは、多くのことが無理なく自然な流れで起こるということであり、個人的な犠牲はあまり必要としないと考えます。例えば私は使い捨てパックのコーヒーの味は好きではなく、いつも磁器のカップで飲んでいます。新しい服ではなくヴィンテージの服が好きですし、レストランに行く場合はプラスチック製のストローを使わない飲み物を注文します。また食品を冷蔵庫に保存するために、使い捨てのプラスチック製品は使用しません。肉が好きではないのであまり食べませんし、家ではリサイクルを心がけ、フィルターにかけた水道水を飲みます。さらに貝殻やサンゴのジュエリーを購入したり身に付けたりすることはありません。これらの例は、小さいことですが無理なくみんなができる簡単なことです。

私生活において何か犠牲にしていることがあるとすれば、それはシーフードを減らしているということです。私はシーフードが大好きな家族の中で育ったので、魚が大好きなんです。海は乱獲が激しく、多くの生物種が絶滅の危機に瀕しているため、エビ(混獲のため)とマグロ(以前は私の好きな魚の一つ)を食べるのをやめました。サステナブルな生活を送ることは容易なことではありません。多くのリサーチが必要であり、私は常に改善できるよう努力しています。

コレクションのインスピレーションはどこから生まれるのか教えてください。
母親と、私が幼い頃に母がサン・バルテルミー島で着ていた洋服です。またマティスやキース・ヘリングのように、遊び心を持って海を表現するアーティストにも刺激を受けます。サン・バルテルミー島でダイビングをしている最中も、たくさんのインスピレーションを得ることができます。ダイビングは静かでとても瞑想的です。水中の静けさは水面下の魚や海綿動物、イソギンチャク、そしてすべての異なる生物に遭遇したときの視覚体験を予想以上に高めてくれます。ダイビングは私にとって、純粋なリサーチであり色の研究でもあります。私は科学者たちが、リーフフィッシュが人間の脳よりも高いスペクトルで色を察知することを発見したということを知りました。FISCHは色と海について語るブランドです。

サステナビリティは新しい時代のラグジュアリーといえるでしょうか?
はい、そう思います。多くのブランドが目的志向となり、ビジネスモデルを変えてよりサステナブルな方向に向かうことはすばらしいことだと思います。

現代の消費者は本当に賢くスマートで教養があるため、多くの人がマーケティングコンセプトやブランドコミュニティ以上のものを期待し、ブランドのポリシーやアイテムがどのようにつくられているかということに、より興味を抱いていると思います。FISCHをスタートする前、一部の業界リーダーたちがアイデアには賛同してくれましたが、商品のために時間とお金を十分にかけてくれませんでした。私は彼らは間違っていたと思っています。特にサステナビリティに関しては、商品が最も大切になります。

私はFISCHを通して、真のイタリアンクラフトマンシップでつくられたアイテムを人々に提供したいと思っています。長持ちする本当にいい商品を届けることが、私にとってのサステナビリティです。私たちのアイテムは単なる水着ではなく、何年も着用することができる本当にいいアイテムなのです。

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アースデイをどのように過ごしますか?
今のこの状況は、私たちを現在という場所に引き戻しました。将来について考えたくても、今の状況では長期的な計画を立てられないということを誰もが分かっています。しかし現在を見つめなおすことで、当たり前だと思っていたことを考えたり、これまで気付かなかった音を聞いたりして意識的な時間を過ごすことが多くなりました。このことは、私たちのこれまでの行動について考え直すきっかけを与えてくれたのだと思っています。アースデイはこういった意識的な時間が持てたことに感謝しながら過ごしたいと思います。

次のプロジェクトを教えてください。
サステナビリティに関する多くのイニシアティブやプロジェクトがあることに嬉しさを感じます。その中でも最初に頭に浮かぶ団体が“Fashion Revolution”です。彼らが世界中で進めてきた取り組みはとてもすばらしく、勉学中にOrsola de Castro(オーソラ・デ・カストロ)にアドバイスをうけたことは本当に幸運だったと思っています。彼女からもらったアドバイスは、間違いなく私のビジョンに大きな影響を与えました。現在はLVR Sustainableプロジェクトの一員となり、私が強く信じているこの美しい取り組みに貢献できることを光栄に思います。

私生活や仕事において、サステナビリティや環境に対する意識はどれほど重要だと考えていますか?
サステナビリティについては毎日考えています。サステナビリティは責務であり、到達点ではないと思っています。私は常に自分自身に問いかけ、自分の行動に伴う結果を認識しています。周囲で何が起こっているのか、ポジティブなインパクトを与えるにはどうすればいいのかということをいつも考えています。

コレクションのインスピレーションはどこから生まれるのでしょうか。
現実からです。インスピレーションはさまざまな状況から生まれてくると思います。着想源を最初から決めずに、聞いて観察する能力を持つことです。そうすると繰り返し刺激してくる物事が分かってきます。特に、理解するために深く観察しなければならないオプ・アートや、建築物からクモの巣までのあらゆる構造と幾何学模様、そして部品店などは私にとっての不思議の国です。昔の衣装や衣服とその社会的役割、そして人々と話すこともインスピレーションとなります。人生はさまざまな関係性から成り立つものだと思います。

サステナビリティは新しい時代のラグジュアリーといえるでしょうか?
この2つの言葉は、違う意味や文脈で使用されたり乱用されたりしている感じを受けます。この言葉があなたにとって何を意味するかは、個人や専門家、ブランドにとって大切なことだと思います。私にとってはリスペクトという価値観が、ラグジュアリーとサステナビリティの中心だと考えています。人々とその仕事へのリスペクト、環境と動物へのリスペクト、マテリアルと製品のクオリティへのリスペクト、美へのリスペクト。ブランド名や形だけに過度にこだわるのではなく、真の価値に目を向けるべきです。

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アースデイをどのように過ごしますか?
コロナのこの状況は、地球が私たちを立ち止まらせ、これまで私たちが何をしていたのかを考えるきっかけを与えてくれました。RÆBURNはチームとして、これから地球に対する影響を最小限に抑え、よりよいシステムで取り組むという決意を胸にアースデイを過ごしたいと思います。アースデイには働かず、よりよい未来に向けて考えます。

次のプロジェクトを教えてください。
RÆBURNは長年にわたりクラフト、クリエティビティ、コミュニティに取り組んでいますが、現在進行中のプロジェクトの一つが#OffCutAnimalsワークショップです。RÆBURN Labでは、私たちのチームと一緒に動物のマスコットを作ったり、素材の切れ端を使って新しいスキルを習得したりすることができます。できたマスコットは持って帰ることができ、収益はすべて世界自然保護基金に寄付します。現在のこの状況においては、作業をデジタルスペースにシフト化し、当社のwebサイトからパターンのダウンロードが可能となりました。そして収益はCovid-19の救済慈善団体に寄付されます。この厳しい状況の中で私たちの創造性が続くことを誇りに思い、世界の多くの場所でマスコットをつくりました。

私生活や仕事において、サステナビリティや環境に対する意識はどれほど重要だと考えていますか?
私たちは人として環境に対するダメージを減らす必要があり、これは個人レベルから始まります。私は個人的に環境へのダメージを抑えるためにあらゆることを行っています。例えば、RÆBURN Labへは自転車で向かいます。また最近では自家製堆肥に挑戦しています。 https://www.instagram.com/p/B-UU4IHg9TM/で#WormChatを見てみてください!

コレクションのインスピレーションはどこから生まれるのでしょうか。
インスピレーションは多くの場合、すばらしい物語を持ったオリジナリティや機能性のあるアイテムから生まれます。過去の破片から何かを見つけ、それを未来に関連する何かに生まれ変わらせる一種の考古学のようなものです。

サステナビリティは新しい時代のラグジュアリーといえるでしょうか?
時代精神は変化しています。稀少性、優雅さ、高価というようなラグジュアリーの古い定義は、環境への意識が高まっていくと同時に変化していきます。責任が伴うデザイン (Responsible Design) は、よりよい将来のために前向きなビジョンを提供できる絶好のチャンスです。LVRSustainableのようなプロジェクトが、新しい方法で取り組むブランドを紹介し、より伝統的で確立したブランドと一緒にその取り組みに注目し検証していることは大きな功績だと思います。世界は変化しているのです。

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A special thanks to Themoirè, Good News, Fisch, So-le Studio, and Christopher Raeburn

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