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アイコンバッグ

ファッション界における最もアイコニックなバッグの歴史

永遠に色褪せないスタイル、ステータス、エレガンスを象徴するラグジュアリーなハンドバッグ。ラグジュアリー、ヘリテージ、洗練という要素を兼ね備えた、時代を超えて人々の記憶に残るアイコンバッグといえばLouis Vuitton スピーディ, Dior サドルバッグ, Hermès バーキン, Chanel 2.55を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし世界中で愛されているイットバッグはこれらだけではありません。今回の特集では何世代にもわたり主人公としてワードローブで生き続ける、流行に左右されないタイムレスなバッグを集結しました。人々を魅了する印象的なスタイルからモダンクラシックまで、アイコンバッグの歴史やその美しい世界を探索しながら、一生大切にできるバッグを選んでみてはどうでしょうか。

Birkin by Hermès

Hermèsが生み出したバッグBirkinは、ステータスシンボルでありラグジュアリーの代名詞です。
Hermèsの歴史を変える1981年に偶然起こった出来事。それがバーキンの物語の始まりとなりました。HermèsのCEOを務めていたジャン=ルイ・デュマはパリからロンドンへのフライトで、女優で歌手のジェーン・バーキンの隣に座っていました。バーキンがストローバッグを座席上の収納棚に収納しようとしたところ、中の物が落ちてしまいました。デュマはそれを見て、バーキンのためにより実用的でスタイリッシュなバッグを制作することを提案したのです。
時の流れとともにバッグの人気は高まり、同時にこのバッグを手に入れることが難しくなっていきます。Birkinを買いに行くのではなく、あなたはBirkinに選ばれる。このバッグは誰でも手に入れることができるわけでなく、入手までに何年もかかる順番待ちのリストも存在します。この稀少性がBirkinの魅力をさらに高め、ファッションを愛する人々からますます切望されるようになりました。

Mini Jodie by Bottega Veneta

ダニエル・リーがBottega Venetaで描いた世界はファッション界に嵐を巻き起こしました。ストリートスタイルにはアイコニックなイントレチャートバッグ、特にMini Jodieを欠かすことはできません。このモダンなアイコンバッグは、その何十年も前により大きなオリジナルのクラシックホーボーバッグを使用していた女優ジョディ・フォスターへのオマージュです。
2020春夏コレクションで初めて披露されたMini Jodieは、モダンかつクラシックなデザインが多くの人を魅了し、瞬く間に注目されるようになりました。非常に柔らかいレザーを使用したこのバッグは、シングルハンドルとマグネット開閉が施されたミニマルなシルエットが特徴的で、その小さめのサイズ感がルックに重たさを感じさせることなく、必需品をスタイリッシュに持ち運ぶことができます。

さまざまなシーンに落とし込める汎用性の高さ、そしてグリーンやフクシャピンクからホワイトやブラックなどのクラシックカラーまで広がるバラエティに富んだカラーオプションが、Mini Jodieがアイコンバッグと呼ばれる理由です。エレガントな夜の外出には落ち着いたカラーを、日中のカジュアルなシーンには鮮やかな色を選ぶだけで、洗練されたルックを完成することができます。

Mini Jodieが人気を博し続けるもう一つの理由は、最高級素材のみを使用し徹底したディテールへのこだわりをみせる、質の高いクラフトマンシップに焦点を当てたBottega Venetaの取り組みにあるといえます。慎重に厳選される革、その柔らかさと耐久性を確保するための加工、そして金具やパーツには変色や腐食に強い上質なメタルが使用されています。

最後にMini Jodieの人気の高さの理由は、セレブリティたちからも幅広く支持されていることにあります。ロージー・ハンティントン=ホワイトリーからヘイリー・ビーバーまで、多くのセレブリティがMini Jodieを愛用しており、ファッションに敏感な人々のワードローブのマストハブバッグとしてその存在を確立しています。

Jackie by Gucci

アメリカで最もスタイリッシュだったファーストレディが憧れていたGucci。1970年代、常に彼女の手元に添えられていたのは、三日月のシルエットが印象的なホーボーバッグでした。GucciのJackie Hoboバッグは温かみに溢れるイタリアンラグジュアリーの縮図であり、柔らかくしなやかな曲線と印象的なピストンクロージャーが融合した、アイコンバッグの女王ともいえるデザインです。ジャッキー・ケネディに愛されたことも、長年にわたり世界中で人気を博した理由の一つです。シルクのスカーフを巻いた洗練されたルックにグラマラスなオーバーサイズのサングラスを添え、Gucci のJackieバッグを優雅に肩にかけたり、時にはパパラッツィから逃れるために大胆に、そしてシックにバッグで顔を隠したりするジャクリーン・ケネディ・オナシスは、独創的なアメリカのスタイルアイコンの一人でした。

一般的にはジャッキー・ケネディに愛された、永遠に色褪せない彼女の代名詞といえるエレガントなハンドバッグとして知られていますが、このバッグは1950年代に最初にデザインされた際には” Fifties Constance”と名付けられていました。ジャッキーはこのバッグをすぐに気に入り、さまざまなカラーバリエーションを揃え、自身のスタイリングの定番として定着させました。ジャッキーはしばしばこのバッグを使い、さまざまなシーンでラグジュアリーなスタイルを披露していたため、彼女とバッグは同義語のような形になりました。そこでGucciはアイコニックな女性にちなみ、このアイコンバッグの名前を変更することにしたのです。

三日月シルエットと魅力的な丸みを帯びたエッジが印象的なGucci Jackieバッグは、オリジナルのホーボーバッグとみなされています。このデザインは1940年代と50年代に頻繁にみられた質素な構造のバッグからの脱却を表し、現在1960年代と70年代の象徴といわれる、よりソフトでボヘミアンな美学への移行を示しています。ラグジュアリーなスタイリングを実現する汎用性と豊富なカラーバリエーション、パターン、素材の融合により、クラシックなバッグをシンプルに独自の方法で持つことができる点が、このバッグの永続的な人気の理由です。

このモデルは最初に登場して以来、70年間にわたりさまざまなパターンやサイズで再解釈され続けてきました。大きめのモデルは日常着にラグジュアリー感を落とし込みたい人々のためのトートバッグのエレガントな代替品として提案されていますが、フィニッシングのバリエーションは数多くあるものの、そのデザインはほぼ変わっていません。これはGucci Jackieバッグが持つ真のアイコニックな性質と、スタイリッシュな人々のワードローブに永続的に残り続けることを証明しています。

アイコンバッグ - LVR Mag_Iconic Bags_1

Chiquito by Jacquemus

ファッションが進化する過程において、ハンドバッグが形やサイズを変えて進化してきたことも事実です。今、時代は小さなバッグに魅了されています。近年アイコンバッグの世界に入り込んだ小さな小さなバッグ。それがJacquemus Chiquitoです。

2017年に2018春夏コレクションのランウェイで登場したミニバッグLe Chiquitoは、ファッション界に大きなインパクトを与えました。ミニマルなデザイン大胆な色彩、そして少し調子の狂った立体感が愛着の湧くChiquitoバッグは、カーダシアンファミリーやリアーナをはじめとする、多くのセレブリティのお気に入りとなりました。カーダシアンファミリーにおいては、色鮮やかなイエローオレンジから落ち着いたメタリックトーンクラシックホワイトまで、ほぼすべてのカラーバリエーションを持っているところを目撃されています。Chiquitoバッグはその立体感と滑らかな構造、魅力的なシルエットだけでなく、ルックや個性を妥協することなく選べる豊富なカラーやフィニッシュのバリエーションが、アイコンバッグとして認知されている理由です。

比較的新しく誕生したバッグをアイコンバッグとして紹介する今回の特集では、優れたデザインがアイコンとして確立されるために、必ずしも長い歴史が背景にある必要はないということを証明しています。クリーンなカットと独特な配置のハンドルが醸し出す、エフォートレスでセンシュアルな雰囲気。Chiquitoバッグは次世代のアイコニックラグジュアリーファッションに向けて、私たちに新たな興奮をもたらします。

これはアイコンの世界では幾度となくみられる現象です。多くの人々に愛されるためには、他とは一線を画す革新的なデザインでインパクトがあり、そのバッグを持つ人を真に体現するだけでなく、トレンドに左右されることなくいつまでも新鮮で、時代の変化に耐えることができるバッグ自体の個性が必要なのです。

Balenciaga City

Balenciaga Cityは2000年代初頭における最も象徴的なバッグの一つであり、進化しながら現在も多くの人に愛されています。2001年、ニコラ・ジェスキエールによって初めてデザインされたレザーバッグ “Motorcycle City” は、ファッション界で瞬く間に注目を浴びました。

このバッグが誕生した時、経営陣からは「軽すぎ、柔らかすぎ、構造面に問題がある」と判断されました。当時若かったジェスキエールは自分のビジョンに自信を持っていたため、ブランドに25のプロトタイプを作成するよう説得し、ファッション業界で最も有名なセレブリティたちにそれを送りました。

25人のうちの一人が、トップモデルとして活躍していたケイト・モスです。キャリアの頂点にいたイットガールは、その自然でエフォートレスなグランジスタイルが多くの人を魅了していました。彼女がクールだと感じだものは、自動的に何でもクールになったのです。25人の心を捉えたこのバッグの魅力は何だったのでしょうか。

Balenciaga City無造作にみえるシルエット柔らかいレザーシグネチャーなパーツが特徴的なバッグです。当時の多くのブランドとは違い、ロゴもありません。独自のタッセルジッププル、編まれたトップハンドル、調節できるショルダーストラップが施され、パーツにはバッグのヴィンテージ感を高める真鍮が使用されていました。

Balenciaga “Mini City”を含むシティバッグには、さまざまな色素材フィニッシュのバリエーションがあり、洗練されたドレススーツでドレスアップしたスタイルだけでなく、よりカジュアルな日常のアウトフィットにも自然に溶け込む優秀なバッグとして愛されています。クラシックなブラックバージョンは有名ですが、赤やピンク、ブルーのような大胆な色合いも存在します。クロコやスネークスキンなどのエキゾチックレザーを使ったものもあれば、スタッズや刺繍をあしらったモデルもあります。シティバッグの人気が根強い理由の一つは、必需品がしっかり入る十分なスペースがあるのに重さを感じることなく、一日中持っていられるその実用性にもあります。カジュアルシックな雰囲気で、さまざまなシーンで活躍してくれる完璧バッグといえるでしょう。

Balenciaga Cityは長年にわたり、エフォートレス&ラグジュアリーの代名詞となっています。
2021年プレフォールコレクションでは再解釈され、Le Cagoleとして生まれ変わりました。
大きなメタルスタッズが施されたしなやかなレザーのようなアイコンバッグの特徴が落とし込まれている一方で、半月型のシルエット、ジップ開閉ポーチやハート型のミラーが付いているなどの違いもあります。

Balenciaga Cityは時間の流れとともに再解釈されながら進化し続ける、永遠に色褪せないバッグです。唯一無二のデザイン、実用性、そしてその個性的なスタイルが、20年以上にわたって多くの人に愛され、ワードローブのマストハブとなった理由です。

アイコンバッグ - LVR Mag_Iconic Bags_2

Dior Lady

レディ・ダイアナが由来となり名付けられた、エレガントでタイムレスなDior Lady。1994年、当時クリエイティブディレクターを務めていたジャンフランコ・フェレは、完璧なスタイルで知られていたウェールズ公妃にちなんだ名前をこのバッグに付けました。レディ・ダイアナは元フランス大統領夫人ベルナデッド・シラクから贈りものとして、このバッグを受け取りました。
柔らかいキルテッドレザーとゴールドのパーツがラグジュアリー感と洗練さを漂わせていたDior Ladyは、その後すぐに流行に敏感な女性たちのマストハブとなりました。
バッグの名前からは当時世界中で愛されていたレディ・ダイアナをすぐに思い浮かべますが、さりげなくエレガントなディテールが特徴的なこのアイコンバッグは、クリスチャン・ディオール彼自身へのオマージュでもありました。迷信的な信念があった彼は常にお守りを持っていたことでも知られており、そのことがバッグに施されたメタルチャームに反映されています。
Dior Ladyは時代の変化とともにアップデートされてきましたが、クラシックな魅力は保ちつつ、新しいカラー素材サイズスタイルが落とし込まれ進化し続けています。しかしDior Ladyが際立っているのは、さまざまなシーンやルックにしっくりと合うその汎用性の高さにあります。ジーンズ、Tシャツ、ファンシーなカクテルドレス。 どんなスタイルやシーンに合わせてもドレスアップ、ドレスダウンが可能です。気品と時代を超越する魅力が溢れるDior Ladyは、長年にわたり世界中で愛され続けるアイコンバッグです。

アイコンバッグ - 2

1969 Nano by Paco Rabanne

ファッションの歴史にその名を刻んだパコ・ラバンヌは、常に限界に挑み、その先の流れを見極めながら魅力的で他に類を見ないアイテムを生み続けたデザイナーです。ブランドPaco Rabanneが手がけるバッグ1969 Nanoは一見シンプルなバッグですが、よく見るとその複雑でユニークなデザインに気付くはずです。チェーンメールバッグのその大胆なスタイルは、50年前に初めて登場した当時と同じ衝撃を受けるほど今もモダンであり、パコ・ラバンヌが持つ創造的な才能から生まれた賜物です。
現在1969シリーズはファッション史におけるクラシックアイテムとして認知されており、長年にわたり、ブランドによってさまざまな形で復刻されています。人々の予想を超える革新的なデザイン型破りな素材を駆使して生まれるバッグは、デザイナーやファッションを愛する人々にインスピレーションを与え続けています。

Fendi Baguette

1997年にデビューしたバッグFendi Baguette。このバッグを持っている人たちは、常に周りの視線を集めていました。多くの人に愛されながら25年以上の月日が経った今、Baguetteは完全なクラシックバッグとしての地位を確立しています。
Fendi創設者の孫娘であるシルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディによってデザインされたこのバッグは、パリに住む女性たちがバゲットを脇に抱えて歩く姿をイメージし、遊び心を持ってBaguetteと名付けられました。
Baguetteバッグは他の多くのアイコンバッグと同じように、誕生してからすぐにヒットしたわけではありません。火を起こすには一本のマッチが必要ですが、そのマッチとなったのが、キャリー・ブラッドショーとして登場したサラ・ジェシカ・パーカーでした。多くの女性たちに愛されているManolo BlahnikのハイヒールとBaguetteバッグは、ヒロインとともに数多くの場面で登場しました。そしてBaguetteは時代精神、ポップカルチャー、ファッションラバーたちのコミュニティを象徴するようになりました。
これまで幾度となくアップデートされてきたFendi Baguetteですが、いつまでも変わることなくFendiコレクションの定番であり続けています。現在もファッションを愛する人々やコレクターの間で高い人気を誇るBaguetteは、シーズンごとに再解釈されたメンズ、ウィメンズの新たなバージョンがリリースされています。時代を超越するタイムレスなデザインと、ファッション界に与えた永続的なインパクトが、その不朽の人気の証です。

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